中高年女性がひっぱりだこ

近年、中高年女性の労働市場での需要が急上昇しています。かつては「年齢を重ねると仕事が見つかりにくい」と言われていましたが、今や状況は一変し、経験豊富な中高年女性がさまざまな職場で求められるようになっています。その背景には、いくつかの社会的な変化があります。

ひとつ目の要因として挙げられるのは、産休・育休制度の充実です。女性の社会進出が進む中、企業は産休・育休を取得しやすい環境を整えるようになりました。しかし、その結果として、一時的に職場を離れる女性社員が増え、代わりに業務を担う人材の確保が急務となっています。特に、企業や事務所が求めるのは、即戦力となる経験者。そこで、育児が一段落し、職場復帰を考える中高年女性の需要が高まっているのです。

二つ目の要因は、日本全体の人口減少に伴う労働力不足です。若年層の人口が減少しているため、これまで新卒採用や若手社員の育成に頼っていた企業も、より広い年齢層から人材を確保する必要に迫られています。特に、専門的なスキルを持つ中高年女性は貴重な戦力と見なされることが増え、企業の採用活動でも「経験と安定感のある人材」が重視されるようになってきました。

こうした社会的背景を受け、中高年女性の労働市場はかつてないほど活気づいています。ブランクがある人でも、適切なスキルを身につければ、十分に活躍できる環境が整いつつあります。では、具体的にどのような職場で中高年女性が求められているのか、次のセクションで詳しく説明していきます。

女性の2つの年齢レンジ

中高年女性の労働市場における需要は、一括りに「中高年」と言っても、その年齢によって求められるスキルや期待される役割が異なります。大きく分けて、35~45歳の層と、45~60歳の層という2つのレンジがあります。それぞれの年代に求められるものを理解することで、自分に合ったキャリア形成がしやすくなるでしょう。

35~45歳のレンジ:成長が期待される世代

この年代の女性は、まだキャリアの成長が見込まれるため、未経験の分野でも積極的に採用されるケースが多く見られます。特に、特許分野のような専門的な仕事では、未経験でも「新しい知識を吸収し、長期的に活躍してくれる人材」として期待されます。特許事務所や企業の知財部では、経験を積みながら成長していく人材を求めているため、特許の実務経験がなくても、学習意欲があれば十分にチャンスがあります。

また、この年代では「育児が一段落し、仕事に本腰を入れたい」と考える人が多いため、フルタイム勤務への移行や、新たなキャリア形成を目指すタイミングとして適しています。企業側としても、比較的柔軟に新しいことを学び、職場に馴染んでいける年齢層として見ており、未経験でも採用されやすいのが特徴です。

45~65歳のレンジ:即戦力が求められる世代

一方で、45~65歳のレンジに入ると、特許事務所側の期待値は少し変わってきます。この年代の女性に求められるのは、即戦力としての実務経験や、職場での適応力です。できれば知財実務や特許事務の経験があることが望ましく、実務経験がある場合は大きな強みになります。

もし実務経験がない場合、それを補うスキルや人間性が重要になります。例えば、特定の技術のバックグラウンドがあれば、特許の実務者として成長できる可能性があります。英語力がある場合は、特許事務の中でも「外内」(外国企業が日本で権利を取得する業務)や「内外」(日本企業が海外で権利を取得する業務)で活躍できる可能性があります。また、法律事務の経験がある場合は、特許業務に関連する書類作成や手続きの理解が早く、特許事務へスムーズに転職できることが期待されます。

また、ブランクがある場合でも、例えばパートタイムや短時間勤務などで少しずつオフィスワークに慣れていると、転職のハードルが下がります。特許事務は、専門性を身に付ければ長く働ける仕事のため、できれば35~45歳の間に経験を積んでおくか、それが難しければ、技術・英語・法律・事務スキルなどの関連分野で経験を積んでおくことが望ましいでしょう。

このように、年齢によって求められるものが異なるため、自分の状況を把握し、どのタイミングでどのスキルを身につけるべきかを考えることが、キャリアの安定につながります。

35~45歳でスキルを積めなかった場合

キャリア形成において、35~45歳の間で実務経験を積むことができなかった場合でも、あるいは、60歳を超えている場合でも、決して諦める必要はありません。特許事務所には、実務者(特許技術者や弁理士)やパラリーガル(特許事務員) だけでなく、総務・経理・秘書業務などのサポート職も重要な役割を担っています。特許業務は専門性の高い仕事ですが、それを支える事務や管理業務があってこそ、スムーズに回っていきます。

例えば、若いころに 管理職の秘書を長年務めていた経験 がある方であれば、特許事務所の所長やパートナー弁理士のスケジュール管理やサポート業務に活かせるでしょう。英語を使う仕事を長年やっていた方 は、特許事務所の外国案件(外内・内外業務)において、海外クライアントとのやり取りや英文書類の処理で強みを発揮できます。また、大手企業で目立たず地道に事務作業を続けてきた方 は、正確で緻密な業務を求められる特許事務で、そのスキルが生かされる可能性が高いです。

特許事務所では、弁理士や特許技術者が専門業務に集中し、パラリーガルがその手続きをサポートします。しかし、仕事を円滑に進めるには、それ以外にも 組織を支える「縁の下の力持ち」の存在が不可欠 です。気配りやコミュニケーション能力が求められる場面も多く、単なる事務作業ではなく、業務全体の調整役としての役割が期待されます。

また、特許事務所は個々の専門性が強いため、各人がマイペースに業務を進めることが多い という特徴があります。そのため、異なる立場の人同士をつなぐ調整役や、細かい業務の漏れを防ぐサポート役が求められる場面も少なくありません。

特許事務所での仕事は、弁理士や特許技術者だけのものではありません。管理経験や秘書経験、英語スキル、細かい事務処理能力など、自分がこれまで培ってきたスキルが意外な形で活かせることもあるのです。もし、専門的な特許業務に携わることが難しくても、自分に合ったサポート業務の役割を見つけることで、特許事務所での新たなキャリアを築くことができるでしょう。

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